2022年も間もなく終わりを迎えます。そのような人生の一つの区切りにゆっくりと時間をとり、今年一年を振り返ってみましょう。そんな時、お茶が大きな助けになります。一服すると言いますけれど、いつもより丁寧にお茶を淹れて、その温かさを前にしながら、ゆっくりと一年を振り返ってみると、新しい年に向かう準備ができます。 今年一年どんなことがあったのかを感謝と共に、ただ淡々と川の流れをみるように眺めます。良かったことだけではなく、苦しくて思い出したくもないことの中にこそ、今後の自分を助けてくれるヒントが潜んでいます。例えば、地域でのコミュニティや会社の仕事で失敗をして、周りとの関係が上手くいかなくなってしまったとします。あの時はひどい目にあったと思うけれど、時を置いて振り返ってみると、自分の用意が足りなかった、周りへの配慮が足りていなかった、もしくはそのまま突き進んでいたらもっと大きな事故につながっていたのではないか、ということに気づかされます。お茶は何気ないけれど、ゆっくり飲んでいると心を静め、深い知恵を与えてくれる貴重な存在なのです。
一年の振り返り
聖心会シスター
鈴木 秀子先生
東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。フランス、イタリアに留学し、ハワイ大学、スタンフォード大学で教鞭をとる。聖心女子大学教授を経て、国際コミュニオン学会名誉会長。著書に『9つの性格エニアグラムで見つかる「本当の自分」と最良の人間関係』など多数。